災害用トイレの選び方とは?災害時のトイレの特徴についてもご紹介!

公開日:2025/10/08
災害用トイレ

みなさんは、災害に備えて何を準備していますか?非常食や日用品を買い揃えるのも大切ですが、毎日の生活に欠かせないトイレの存在も忘れてはいけません。そこで今回は、災害用トイレの選び方と災害時のトイレの特徴を紹介します。万が一に備えて、ぜひ参考にしてください。

災害用トイレはどのように選んだらよい?

災害で断水や停電、下水の損壊などが起こると、水洗トイレは機能しなくなります。そのため、もしものときに備えて「災害用トイレ」の準備が必要です。

これから準備しようと考えている方は、以下のポイントに気をつけて選んでみてください。

消臭・防臭・抗菌効果がある

断水によって流せなくなると、部屋中にニオイが充満します。ゴミの回収もいつもどおりに来ないため、消臭・防臭効果のあるトイレがおすすめです

もちろん、持続性が高いことも重要です。比較的長時間持つものを選び、汚物袋の耐久性・防臭性を兼ね備えたものだとより効果的でしょう。

抗菌作用があるものは菌の繁殖を抑える効果があるので、衛生管理も行えます。

使用期限が長いもの

使用期限が短いものは、頻繁に買い替えることになるため、手間とコストがかかります。できるだけ使用期限が長いものをいくつか準備しておくと安心でしょう。

しっかり凝固する

凝固作用が高いものほど、スピーディにニオイを抑えてくれます。一方で少量のものや持続時間が短いものは、しっかり固めることができず、ニオイ漏れの元になる可能性があります

安く入手できる凝固剤もありますが、災害用は機能性の高いものを選ぶようにしましょう。

使いやすい

普段使わないものだからこそ、使い勝手のよいものがおすすめです。たとえば、携帯トイレならサッと取り出せるものを、簡易トイレなら組み立てやすいものなどが挙げられます。

事前に使用方法を確認しておくことも大切です。

災害時のトイレを確保・管理する際に必要なこと

災害時は、同時に複数の事態が発生するため、トイレを確保するうえでいくつかの制約を認識しておく必要があります。

また、確保・管理にあたり、配慮すべき事項も知っておきましょう。

災害時に起こりやすいこと

災害レベルや住宅状況によって、事態の大きさは異なります。ここでは、起こりやすいことと、それに対する制約について解説します。

1つ目は、断水・給水管の凍結等による破損です。水が流せなくなるため、手が洗えず衛生環境が悪化する恐れがあります。

2つ目は、停電です。停電する場所によって制約が異なるため、状況に応じた対処が必要になります。たとえば、戸別浄化槽ブロアーが停止すると、水洗トイレが使えなくなるので要注意です

マンションの場合、水が汲みあがらないことで使えなくなることが多いでしょう。

3つ目は、下水道・集中処理浄化槽等の破損です。水は確保できますが、排水先が破損していると水洗トイレが使用できません。戸別浄水層の場合も同様です。

4つ目は、し尿処理施設の破損です。災害が発生すると汲み取りを中止しなければいけないため、トイレが使用できなくなります。汲み取りを継続する場合でも、他地域への搬送・処理が必要でしょう。

5つ目は、大雨・洪水等による浸水の継続です。浄化槽等の逆流で被害が起こりやすく、下水処理場等の機能が停止する場合があります。戸別浄化槽のブロアーが故障すると、水洗トイレも使えなくなるで気をつけましょう。

6つ目は、避難場所の既設トイレが使えない場合です。携帯トイレの使用スペースが確保できないため、トイレ難民になる危険性があります

これらを平時に認識しておくと、事前準備ができ、もしものときも慌てずにすむでしょう。

安全性

トイレを確保・管理するにあたって、配慮すべき事項がいくつかあります。

まずは、安全性です。身体が弱い方や子ども、高齢者がいる場合、とくに安全性を考えて確保しなければいけません。

たとえば、できるだけ明るい場所やトイレまでの経路に夜間照明を設置するなどです。屋外トイレはプライバシーを守る必要もあるため、堅牢なものだと安心でしょう。

ほかにも、個室には施錠を付け、防犯ブザーや手すりなどを設置することも大切です。

衛生・快適性

次に、衛生・快適性です。とくに衛生環境は、感染症の恐れもあるためしっかり対策しておきましょう。

ポイントは、トイレ専用の履物・手洗い用の水やウェットティッシュ・消毒液・消臭剤・掃除用具などの準備です。虫が寄らないように防虫剤も買っておくと安心でしょう。

暑い時期は換気を徹底し、寒い時期はヒートショック等に気をつけることも大切です。とくに高齢者がいる場合、トイレとの寒暖差に気をつけましょう。

女性・子ども・高齢者

そして、女性・子ども・高齢者への配慮です。かならず男性用・女性用にわけ、生理用ナプキンを処分するゴミ箱を用意しておきましょう。鏡の設置や荷物を置くための棚・フックも設置しておくのも効果的です。

子どもと一緒に入れるトイレやオムツ替えスペースの設置や、災害時はいろんな人とトイレを共有するため、目隠しがあると使用待ちの行列でもプライバシーを守れるでしょう。

高齢者・障害者が多い地域は、洋式便器の確保や使い勝手のよい場所への設置、段差を解消することも大切です。介助者が入れるトイレの確保や福祉避難スペース等への設置も検討しておきましょう。

このほかにも、外国人向けの掲示板を用意したり、多目的トイレ・幼児用補助便器・人工肛門等の装具交換スペースも確保しておくと安心です。

トイレの個数

最後は、トイレの個数です。災害発生当初とそのあとでは、必要となる個数が異なります。また、国連における基準や過去の仮設トイレ設置状況も踏まえて確保計画を作成しなければいけません。

必要数の算出方法は、トイレ全体の場合「最大想定避難者数(a)÷50」です。携帯・簡易トイレの場合、1日に必要な便袋数は「最大想定避難者数(a)×5回」、備蓄目安数は「1日あたり必要な便袋数×日数」で計算します。女性と男性の割合は3:1が理想です。

上記を踏まえたうえで、災害発生時は避難者約50人あたり1基、その後は避難が長期化する場合に約20人あたり1基が必要です。トイレの平均使用回数は1日5回までとなっているため、施設のトイレの個室と災害用トイレを合わせた数で算出しましょう

ただし、バリアフリーは個数に含まれないので注意してください。

個数はあくまで目安です。避難状況や被害レベルでも変動するため、見合った数のトイレを確保しましょう。

以下、各地域で発生した災害における仮設トイレの数です。

北海道南西沖地震は約20人に1基、阪神・淡路大震災は約75人に1基、雲仙普賢岳噴火災害は約120~140人に1基が設置されました。

災害用トイレの種類と特徴

ひと言に災害用トイレといっても、種類はさまざまです。そのため、状況や人数に応じたトイレを設置する必要があります。

ここでは、主な災害用トイレを紹介します。

既設トイレの活用

既設トイレが使用できれば、トイレの個数が確保しやすくなります。市町村は避難所の排水状況や便器の種類、避難者に提供できるトイレの選択などを施設管理者と協力して事前に把握しておきましょう。

水洗トイレの使用可否・使用ルール・清掃と維持の管理方法なども準備しておくと安心です。

既設トイレを使用するポイントは、以下のとおりです。

断水していない場合でも、災害発生直後の使用は避けましょう。下水処理場等の被害状況が確認され、問題がなければ使用しても問題ありません。

洋式便器は、携帯トイレを使用する際、便器内の水が浸水しないようビニール袋をかぶせます。一方で和式便器は、便器の上に板・ダンボールなどを置いてから簡易トイレを設置します。

高齢者や障害者は和式便器の使用が困難なため、既設トイレを洋式便器にするのが最適でしょう。とくに避難施設は、節水型に置き換えて使用しなければいけません。

携帯トイレ

現在使用されている災害用トイレは、携帯トイレ・簡易トイレ・仮設トイレ・マンホールトイレの大きく4つにわけられます。

携帯トイレは、いわゆる「便袋」におことで、洋式便器等に設置して使用するのが特徴です。簡易トイレよりもさらに簡易的なので、吸水シートや凝固剤で水分を安定化させ、使用後はかならず処分しなければいけません。

使用済みの袋を再利用すると衛生環境が悪化する恐れがあるため、必ずその都度捨てましょう。

消臭剤が付いているタイプや水分の漏れを防ぐ外袋が付いているものもあり、自宅でも使用できるので、もしものときに備えて準備しておくと安心です

携帯トイレのよいところは、電気・水なしで使用できる点です。価格もそれほど高くないので入手しやすく、少ないスペースで保管できるのもうれしいでしょう。洋式便座があれば、基本的にどこでも使用できます。

ただし、既設トイレ以外で使用する場合は仕切りや簡易便器が必要です。使用済み便袋の保管場所や回収、臭気対策も行っておきましょう。

簡易トイレ

携帯トイレよりワンランク上のトイレが「簡易トイレ」です。し尿を溜めるタイプ・し尿を分離するタイプ・電力が必要なタイプにわけられ、種類によって使い方も異なります。

一般的な簡易トイレの特徴は、手すりが付いているものもあり、水なしでの使用も可能です。室内でも設置・持ち運べるようにサイズは小型ですが、汚物を処理する際は凝固剤を用いたラッピングやコンポスト・乾燥/焼却などにわけられます。

メリットは、既設の個室があればすぐに使用できることや臭気対策がなされているものがあること、福祉避難スペース等で使用できる点です。

個室以外で使用する場合はパーテーションで仕切る必要がありますが、サッと設置できるので一家に一台あると助かるでしょう。ただし、使用済み便袋の保管場所を確保したり、回収・臭気対策を行ったりする必要があります。

一方で組立式の簡易トイレは、ダンボールに便袋を設置して使用します。携帯トイレ同様、吸水シート・凝固剤で水分を安定化し、使用するたびに便袋を処分しなければいけません。

前述したタイプと比べると使い勝手が悪いように感じますが、自宅でも使用できる点や持ち運びやすい点は大きなメリットです。

このほかにも、電気・水なしでの使用OK・安価・少ないスペースで保管可能・福祉避難スペースで使用できるなどのメリットがあります。

仮設トイレ

仮設トイレは、建設現場やイベント会場などで使用されているトイレです。近年、災害用として使われることが多く、抗菌・除菌タイプや自宅同様の機能が付いたタイプなど、種類によって使用感が異なります。また、ほとんどが電気なしで使えるのも大きなポイントです。

方式は、便槽に貯留するものとマンホールへ流下させるものにわけられます。階段付きが多い一方で、車椅子でも利用できるようにバリアフリータイプも存在します。女性や子ども、高齢者が使いやすいように工夫する必要もあるでしょう。

メリットは、施錠OK・衛生面が安心・調達しやすい・耐久性に優れているなどが挙げられます。汲み取り方法や汲み取り体制、臭気・安全対策などの維持管理ルールがあるものの、簡易的なトイレと比べて周囲を気にせず使用できるのはうれしい点でしょう。

組立式も、貯留型とマンホールに流下させるものがあります。車椅子でも使いやすいように手すりが付いているものやバリアフリーになっているものもありますが、高齢者や女性の避難者を考えて場所を確保しなければいけません。

貯留型は電気・水なしで使用できるのがメリットです。一般的な仮設トイレと違って折りたたみ式で搬送・保管できるので、設置もスムーズでしょう

マンホールトイレ

マンホールトイレは、文字どおりマンホールの上に設置するトイレです。パネル型やテント型などがあり、下水道管や処理場が被災していない場合に使用できます。

貯留機能を有しているものは、下水道管等が被災していても一定量の貯留が可能です。汲み取りが必要になる場合がありますが、通常の水洗トイレと同じように使えるのは大きなメリットでしょう。

ほかにも、調達の手間がなくスムーズに設置できたり、構造によって施錠できたり、下水道管に流下させるため衛生的にも安心です。屋外での使用となるため、照明の設置や安全対策が必要になります。

設置を検討している市町村は「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(平成28年3月)」を参照してください

その他のトイレ

上記のほかにも、自己処理型トイレ(水循環式・コンポスト式など)や車載トイレ、便槽貯留などのトイレもあります。

自己処理型トイレとは、方式によって特徴が異なり、水循環式は汚水を排水しません。一方でコンポスト式と乾燥・焼却式は、おが屑を使用します。

車載トイレは、文字どおりトイレ設備を搭載した車両です。処理方式によって使用可能回数が異なり、ユニバーサルデザインを導入したタイプも存在します。

便槽貯留は、平時は水洗トイレとして使用し、災害時は蓋や便器底を開けて「貯留式トイレ」にするのが特徴です。地下ピットを有し、仮設ブースを設置するものもあります。

トイレと一緒に備えておくとよいもの

災害が起こると、物流が途絶え、日用品が品薄になる恐れがあります。トイレだけに気をとられて「必要なものが足らない!」なんてことにならないように、トイレと合わせて準備しておきましょう。

ここでは、備えておくとよいものを紹介します。

トイレットペーパー

トイレに欠かせないのが「トイレットペーパー」です。災害後は必要なものがなかなか手に入らないので、事前にしっかり備えておきましょう。

トイレットペーパーの消費目安は、1人あたり1ロール/週間です。頻度によって変動しますが、トイレに行く回数が多い方はできるだけ多く準備しておくと安心です。最近は長巻きタイプも増えているので、場所をとりたくない方はチェックしてみてください。

紙はニオイや湿気を吸着するため、長期間保管する場合は注意が必要です。使用感やカビが気になる方は、保管場所にも気をつけるとよいでしょう。

避難場所に持ち出す際は、圧縮・量・防水対策などのポイントを押さえておくと安心です。圧縮するとコンパクトになるので、ほかの荷物と一緒に持ち運んでも邪魔になりません。

圧縮方法は、ロールの芯を抜き、ペーパーを折りたたんでジップロックに入れるだけでOKです。力強く圧縮してしまうと芯が潰れてホルダーへのセットがむずかしくなるので、力を入れすぎないように圧縮しましょう。

量は、ひとりあたりが使う量で十分です。大量に持ち出してしまうと、必要な物資のスペースを奪いかねないので注意してください。

照明類

ランタンやヘッドライトといった照明類は、停電したときに役立ちます。100円ショップにも売っているので、複数準備しておくと安心です。

45リットルのポリ袋

ポリ袋は、30~45リットルのものが携帯トイレにセットしやすく、ゴミもしっかりまとめることができます。少量サイズのものも準備しておいて損はしませんが、携帯トイレに使用する場合は30~45リットルのものを購入しておきましょう

トイレ1回につきポリ袋は2枚です。汚物を入れるので、黒いポリ袋がおすすめですが、売っていない場合は、新聞紙やほかのゴミなどと一緒に捨てると中身が見えないので安心です。

アルコールティッシュ

断水していることも多いので、アルコールティッシュも欠かせません。手拭き用としてはもちろん、持ち物やテーブルなども拭けるので、多く保管しておくと安心です。用を足したあとのニオイが気になる方は、消臭スプレーなども購入しておきましょう。

まとめ

災害用トイレの選び方や、災害時のトイレの特徴を紹介しました。地震大国の日本だからこそ、万が一に備えて対策が必要です。とくに災害用トイレは断水したときに役立つので、一家に一台、携帯or簡易トイレを準備しておくようにしましょう。災害時も安心・安全に生活するために、トイレの存在は欠かせません。排泄の我慢は健康障害を引き起こす恐れもあるので、事前にしっかり確保し、被災中のトラブルを軽減しましょう。最近は、100円ショップでも携帯・簡易トイレが売っており、災害に対応したトイレも設置されているので、ぜひチェックしてみてください。

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